2010年2月17日水曜日

数学 #14 対数の計算方法

17世紀,電卓なんてものはありませんでした.
対数(logarithm)が発見されたのはこの時代です.様々な対数の値を表にした対数表は,科学者や工学者が数値計算を実行するのに大変役立つものであり重宝されました.

さて今回は,対数の値はいかにして計算されたのか,ということで,log102を17世紀当時の方法で求めてみます.

ブリッグスの方法

まずは,10の平方根を計算し,その平方根を更に計算し…,ということを54回行います.
c=1/254とすると,
10c=1.00000000000000012781914932003235=1+a
2c=1.00000000000000003847739796558310=1+b
x=log102とおくと,
2=10x
1+b=2c=(10c)x=(1+a)x≒1+ax
より,
log102=x≒b/a=3847739796558310/12781914932003235≒0.30102999956638812

log102≒0.30102999956638812

当時の数学者はこのようにして,対数の計算を行いました.そして,膨大な時間を掛けて対数表を完成させたのです.

補足:

ブリッグスの方法では,平方根を54回計算していますが,平方根の計算方法が分かりませんでした.平方根の漸化式を適用していくことで計算したのかもしれません.
例えば,√2なら適当な初期値をとって,
an+1=(an+2/an+1)/2
を繰り返すことで計算できます.

(1+a)x≒1+ax
は,以下のニュートンの一般二項定理からの近似です(実際にはこの定理の方が後に出現しています).

ニュートンの一般二項定理
任意の有理数aに対して,|x|<1の範囲で
(1+x)a=1+xa/1!+x2a(a-1)/2!+x3a(a-1)(a-2)/3!+…
が成立する.

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